可処分所得の把握によって家計における手取りの収入がわかりました。
一方、ライフプランニングにおいては年間の支出額の把握も重要です。
しかし、これを正確に把握している人は少ないのが一般的です。
- 1年間の総支出額を把握する
通常、1年間で使った金額を思い出そうとしても、なかなか思い出せません。
しかし、1年間で貯めた金額なら通帳を確認するなどして、思い出すことも可能ではないでしょうか。
その1年間で貯蓄した金額を思い出せるのであれば、
以下の計算式で簡単に総支出額を求めることが可能です。
ここで出てきた金額は、使ってしまっている金額です。
- 支出を6項目に分類する
しかし、年間総支出額が把握できたからといって、
それだけでは家計の中味はわかりません。
そこで、支出を項目別に6分類して把握してみましょう。
- 基本生活費:食費、公共料金(水道光熱費等)、小遣い、雑費など
- 住居費:家賃、ローン返済額、管理費、固定資産税など
- 教育費:学校教育費、家庭教育費(塾や家庭教師の費用など)
- 保険料:生命保険料、損害保険料、共済掛け金
- その他支出:交際費、耐久消費財の購入費、レジャー関連費用など
- 一時的支出:マイカーの頭金など(上記の該当するものは除く)
基本生活費や食費や公共料金などが該当します。公共料金などは口座引落しにしていれば、
通帳を確認することによって把握できます。住居費も家賃やローンの返済額は容易に把握できるでしょう。
また、住宅を保有することによってかかる固定資産税や、団体信用生命保険の保険料なども、
税金や保険料という名目ではありますが、住宅関連費用という意味で住居費に該当すると考えるのが一般的です。
そして、教育費や保険料も、把握しやすいものといえるでしょう。
問題は、その他支出です。これは、交際費やレジャー関連費用などが大部分を占め、
家計における使途不明金の多くがこれに該当します。
いくら使ったかはなかなか思い出せない支出だともいえます。
そして最後の一時的支出は、今年だけかかったようなマイカーやマイホームの頭金などが該当し、
毎年はかからない支出をさします。
なお、「住居費」「教育費」「保険料」の3つは、家計の「3大支出」と呼ばれることが多くあります。
その理由は、人生において多額の出費を伴う3大項目であるということと、
FPに対する相談案件でこの3つに関する相談が圧倒的に多いということがいえるためです。
さて、これらの支出を順番に把握していく方法ですが、把握方法のキーワードは
「引き算」です。正確に思い出せないものを足し算で把握しようとしても、
家計の実態は正確にはつかめません。
したがって、思い出せるものから引き算で把握する、というのがポイントです。
- 家計の実態を把握する
まず、「年間総支出額」から今年だけ特別にかかったような「一時的支出」を差し引きます。
すると、毎年このくらいは使っているだろうと思われる「経常的な支出」が求められます。
そして、経常的な支出から「3大支出(住居費、教育費、保険料)」を差し引くと、
残ったのが毎年生計を立てるためにこのぐらいは必要だろうと予想される「生計支出」が
求められます。最後に、生計支出から把握している「基本生活費」を引くと、
何に使ったのか把握できていない「その他支出」が求められます。
<支出を把握する順序>
- 年間の経常的な支出=年間の総支出額−一時的支出
- 年間の生計支出=経常的な支出−(住居費+教育費+保険料)
- その他支出=生計支出−基本生活費
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