ライフプランニングを行ううえで、どのようなテーマがあるだろうか。
ここでは狭義のライフプランニングに絞り、年代別の一般的なテーマ(ライフイベント)
について解説する。ただし、実際には個々人の状況に応じて主となるテーマは
さまざまである。
マネープランについては、
All About [マネープラン入門]
に参考となる情報がたくさん集められています。一度アクセスしてはいかがでしょうか。
- 20代
重要なテーマは結婚である。20代では結婚するのか単身を続けるのか、
出産はいつするのかなどを考える。結婚する人は、結婚資金の準備が必要になる。
結納から新生活のスタートまでどの程度の資金がかかるのか、把握する必要があるでしょう。
また、この時期には、自分の収入・支出の把握をしっかりと行い、税金・社会保険・
金融資産の運用・必要な保険の加入など、現在および将来必要な
ファイナンシャル・プランニングに関する知識を習得することも重要である。
同時に近年、クレジットカードの乱用や、消費者ローンの利用により、
多重債務に苦しむ人が増えている。したがって、自身の債務管理や計画的な支出が
行えるような生活習慣をこの時期に身に付ける必要がある。
- 30代
家族構成がほぼ固まる30代では、出産と住宅の購入が重要なテーマになる。
そのため、今後の夫婦の働き方を検討する必要がある。子供が誕生した場合や
健康状態、今後のライフプランなどを総合的に考えて具体策を決めていくこととなる。
とくに配偶者が退職し、収入が一方のみになる場合は、その収入の担い手が
死亡した場合のリスクに備える必要がある。公的遺族年金を補完する一定額の
保障が得られるよう、適切な保障額の生命保険に加入することなどが求められる。
出産費用については、健康保険の(家族)出産育児一時金などが原則として
30万円(東京23区は35万円)支払われ、一定額まではカバーできるため、
今後は子供の教育費が長期的にかかることを認識しなければならない。可能であれば
早い時期から教育費のための積立てを行いたい。教育費の準備の観点としては、
学校における費用(授業料など)だけではなく、習い事・塾などの家庭における
教育費用も含めておく。
また、子供が誕生することにより、収入の担い手が確保しておきたい保障額は
さらに大きくなる。もう一度必要保障額を見直しておくことが重要である。
住宅の購入については、頭金を含めた自己資金の準備、住宅ローンの設計、
その後のローンの見直し、という3つの側面が重要である。購入時に可能な限り
自己資金を準備し、住宅ローンが将来の生活設計に支障をきたさないよう留意したい。
また、できれば定年退職までに返済を完了したい。住宅ローンを組んだあとは、
金利情勢や収入の状況をみながら、繰上げ返済や借換えなどの検討も必要である。
賃貸住宅や社宅に住んでいる場合、収入の担い手が死亡したときにその後の住宅の確保
ができるのかどうか、考慮すべきである。一般的にローンを組んで住宅を購入した人は、
ローンに団体信用生命保険を付保している。したがって、遺族への生活保障のために
個人の生命保険で準備しておきたい額は、住宅を保有している人に比べて、
賃貸住宅に住んでいる人のほうが大きい。
- 40代
子供がいる世帯では、子供が高校・大学へ進学する頃に世帯の収入が
どのような状況かを予測することが重要である。晩婚化で子供の教育費が
かさむ時期に定年退職を迎えるようなケースや、
収入の担い手が一人であるケースなどでは、教育費の捻出に支障をきたすことも
考えられ、準備が必要である。
働き盛りを迎えて収入が増大していくが、出費も多くなり、
貯蓄できる余裕があまりない時期である。家計の見直しや住宅ローン、
保険の見直しなどが特に必要になる。
- 50代
老後生活の具体的なイメージを描き、必要になる生活資金を想定し、
準備することが必要な時期である。ただし、昨今の低金利から、
老後資金の準備には従来に比べて時間が掛かると思われるため、
確実に運用する部分と、積極的に運用する部分を適切に組み合わせながら
効率的に運用することが望まれる。また、今後サラリーマンの公的年金の
支給開始年齢は、段階的に引き下げられ最終的には65歳になるので、
60歳代前半の生活費の確保にも十分留意したい。
老後資金については、たんに生活費だけではなく、
医療資金や介護資金の確保についても検討すべきである。
必要に応じて中年期に民間の医療保険や介護保険を利用して、
自助努力を行うことも大切である。
- 60代以上
子育てから解放され、自由な時間を自分の生きがいの追求にあてられる
時期である。そのために退職金やそれまでに蓄えた老後資金を確実に運用し、
健康な老後生活を送ることが重要なテーマである。
さらに、寝たきりになったときの介護の備えを検討する時期でもある。
また、自分の死後、自分の財産が遺族によって円滑に分けられることは、
財産の多寡を問わず、多くの人の願いであろう。そのためには、本人の相続が
発生する前に、事前の話合いや遺言、生命保険の早期の加入などの対策が
効果的である。相続財産が高額になり、相続税の納税対策の準備が
必要なケースもある。これについても税理士などの専門家を交え、
さまざまな角度から検討を重ねることが必要である。
|